リレーメッセージ第4回:近江温泉病院 久貝千里さん

広報部

滋賀県は広く、ST同士が交流できる機会が多くありません。
「リレーメッセージ」と題し、県下STに自由にお話いただく場を作る事で、滋賀県STってこんな感じなんだ!と繋がる場を企画しました。「よもやま話」が集まり、滋賀県下の現在そして未来のSTへのメッセージとなることを期待しています。

 第4回目は、近江温泉病院の久貝千里さんにお願いしました。
 先生のお人柄と"今"が伝わってくる文章で、「滋賀のベテランの先生にお願い出来て、本当によかった」と考えております。

下記よりご覧ください。

リレーメッセージ:第4回

STのつながりを大切に~今までを振り返り感じること~

 初めまして。私は近江温泉病院に勤務し早〇年、回復期、医療療養、介護医療院、訪問、外来と様々な部署を経験させて頂き、現在7名のSTの仲間と共に働いています。今回リレーのバトンを受け取り「何かメッセージを」と、今までを振り返ってみました。

 入職当時は、滋賀県内のSTが少なかったこともあり、近隣STの方々との交流は貴重な時間でした。先輩STが交流機会を作って下さり、お菓子を持ち寄り勉強会の開催や様々な研修会へ一緒に足を運び、刺激をもらいに行っていました。
 また、普段の仕事の話をしていると「いつも近江のSTは帰りが遅いですね」と言われる程、毎日帰りが遅くなってしまい、今振り返ると何をしていたのか恥ずかしい限りですが…。当時はわからないことだらけで、患者さんについて「あーでもないこーでもない」とスタッフみんなで話し、遅くまで残っていたように思います。今となっては良い思い出です。

 さて、ここでほっこり?訪問時代のエピソードも紹介します。
 失語症の方のお宅で、ご家族が作った鮒ずしを勧めて下さったことがありました。鮒ずしと言えば滋賀の高級な名物、でも匂いが独特…。時代もあり、ここは言葉を引き出すきっかけになれば、と「ありがとうございます!」と一緒に頂きました。これがまた美味しく患者さんも笑顔、私も笑顔で「材料は何ですか?どのように作るのですか?」など言葉を引き出すきっかけを頂き、訪問ならではの思い出です。
 もう1つ、初めて伺う訪問先での出来事です。同じ苗字の方が多い地域で「初めまして…」と挨拶し、顔を合わせると「事前情報と症状が違うな?」と。なんと!同じ苗字の違うお宅に訪問してしまうという大失態。訪問時代はヒヤヒヤエピソードが多かったですが、ST領域のみならず広い視野を持った知識が必要で、柔軟な動きが求められていることを痛感し、多くの学びがありました。

 現在では、近江温泉病院のSTとしてどうあるべきか、臨床だけでなく教育・指導といった部分での仕事も増え、新しく入ってくる仲間と共に成長できるよう、ST内の目標に向け取り組んでいます。と同時に、臨床においては長期療養の方へ楽しみとしての食の支援がどうあるべきか常に悩んでおり、この方の望んでいることは何なのか?私たちの向き合い方であっているのか、本人の思い、家族の思いに耳を傾けその人らしい生活につながるにはどうすべきか…悩みはつきません。

 時間の流れとともにライフスタイルも変わり、最近の新しい知識に全くついていけず(それではいけませんが…)、年齢もあってか頭にとどまりにくく自分自身の衰えを感じる日々ですが、また昔のように「あーでもないこーでもないと、違う悩みでざっくばらんにお話がしたいな」と、改めてこの機会を頂き感じております。また入職当時からのSTのつながりがあるからこそ、何かあった時は声をかけさせて頂いており「これからもそのつながりを大切にしていきたいな」と思います。
 考え出すと奥が深く、なかなか言葉では表しにくいですが、やはりSTの仕事は楽しく日々向き合えることに感謝し、「また明日からも頑張ろう」と改めて力が沸いてきました。
 新人の皆さんも数少ないSTの仲間を大切に、いろんな話ができる輪を広げていきましょう。

 この度は貴重な機会を頂き、ありがとうございました。