リレーメッセージ第5回:びわこリハビリテーション専門職大学 岩本徹さん

広報部

滋賀県は広く、ST同士が交流できる機会が多くありません。
「リレーメッセージ」と題し、県下STに自由にお話いただく場を作る事で、滋賀県STってこんな感じなんだ!と繋がる場を企画しました。「よもやま話」が集まり、滋賀県下の現在そして未来のSTへのメッセージとなることを期待しています。

 第5回目は、びわこリハビリテーション専門職大学の岩本徹さんにお願いしました。下記よりご覧ください。

リレーメッセージ:第5回

~言語聴覚士の未来~

 初めまして。私は、滋賀県東近江市にある「びわこリハビリテーション専門職大学 言語聴覚療法学科」の岩本と申します。元々は東近江市にある近江温泉病院で言語聴覚士として勤務していましたが、2024年度から、滋賀県では初めてとなる「言語聴覚士の養成課程」が大学に開設される際に、ご縁があり転籍いたしました。前職時代では何度か養成校の特別講師や実習の指導者として学生さんと触れ合うことはありましたが、自分がまさか教育者になるとは! 言語聴覚士の資格を取得した13年前には想像もしていませんでした。また、大学では種村純先生を始め、経験や実績の豊富な先生方と一緒に仕事をしています。現在は大学の仕事を覚えながら、大学院で学び直しをし、ちょっとだけ臨床もするという、忙しく楽しい毎日を送っています。

 さて、「言語聴覚士の未来」という壮大なテーマのために、次の3点に触れておきたいと思います。

1.若い世代にバトンをつなぐために
 今年の4月で言語聴覚士の資格を有する人数は4万人を超えましたが、滋賀県内の言語聴覚士は約200人程度と考えられ、47都道府県士会中最下位というのが現状です。今年大学に入学した言語聴覚療法学科の学生さんや、オープンキャンパス等でお話を聞いた学生さんから言語聴覚士について聞くと、インターネットや医療関係者経由で言語聴覚士について知るケースが多く、臨床現場の声や需要に比べて、まだまだメジャーな職種ではない印象があります。個人的には、将来言語聴覚士を目指す高校生や社会人だけではなく、中学生や小学生から言語聴覚士について知る機会を増やし、その魅力について伝えることも私の仕事だと考えています。

2.私たちの課題
 次に、私たち現役の言語聴覚士側の課題について、私の経験を踏まえて述べたいと思います。私自身、これまで色んな研修会等に参加させていただきましたが、その中でとても印象に残った言葉があります。それはとある研修会で講師の先生が話された言葉です。
 「言語聴覚士はまだまだ少ない。未来は希望にあふれている。だけど言語聴覚療法のエビデンスが少ないのも事実だ。これからの時代、臨床だけではなく、君たちの世代がエビデンスを作るのも大切です。その為にはインプットだけではなく、症例検討会や学会発表、論文執筆を通じてアウトプットをしましょう。」
 この言葉の中の「症例検討会!」「学会発表!」「論文執筆!」を聞くと、つい身構えてしまうのは当然だと思います。私自身若手の頃は特にそうでした。先輩方や他の先生方からご指摘・ご助言を受けることにとても緊張した記憶があります。それでも、その経験というのはとても大切だと思います。経験が浅い頃は、何となく学会や研修会に参加して、勉強になったような気持ちになっていましたが、改めて考えると、自分のこれまでの成果をアウトプットすることは自分自身だけでなく、言語聴覚士全体のレベルアップにも繋がります。

3.アウトプットの意味
 最後に、アウトプットとは、事実として、これまでの訓練法や評価法は先人の先生方が苦労して築き上げた研究から成り立っている、という点です。いずれの研究も根底にあるのは「全ては患者さんの為に」という考え方であり、今現在、第一線の臨床現場から離れた私も同じ気持ちでいます。私自身、研究は現在基礎から勉強をしている途中です。今はまだまだ微力ですが、自分自身の研究が少しでも言語聴覚士の未来に繋げていければと思っています。
 いつか皆様とも一緒に研究や症例検討ができると幸いです。いつでもご連絡ください。 (https://bpur.aino.ac.jp/info/info04/2024/iwamoto_t.php

 滋賀県唯一の言語聴覚士教育機関として、言語聴覚士の未来への懸け橋になるのが私の理想です。

 最後までメッセージを読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。
  一緒に滋賀県の言語聴覚士を盛り立てていきましょう。