リレーメッセージ第8回:滋賀県立総合病院 M・Hさん

広報部

滋賀県は広く、ST同士が交流できる機会が多くありません。
「リレーメッセージ」と題し、県下STに自由にお話いただく場を作る事で、滋賀県STってこんな感じなんだ!と繋がる場を企画しました。
「よもやま話」が集まり、滋賀県下の現在そして未来のSTへのメッセージとなることを期待しています。

第8回目は、滋賀県立総合病院のM・Hさんにお願いしました。
小児分野における聴覚領域のお話を頂戴できました。
下記よりご覧ください。

音と心をつなぐSTのしごと

 はじめまして。私はST専攻の4年生大学を卒業後から聴覚分野で働いてきました。

 卒業を機に関西へ来て、滋賀に移り住んでそろそろ10年・・・。今回お話をいただいて振り返ってみて、なんだかあっという間だなと思いますし、この限られた分野だけでこれだけ長く働けているのかとも思いました。
 耳鼻咽喉科所属のSTとして、聴力検査や補聴器や人工内耳の調整、家族指導、コミュニケーション面でのリハビリを主に行っています。メーカーの開発によって年々新しい機種や機器が開発されていくため、ついて行くことに必死な面もありますが、まだまだ楽しみを見出しながらこの仕事を続けることができて嬉しく思っています。

 補聴器や人工内耳の調整は、STのさじ加減によってよく聞こえるようにもできるし、反対に聞こえにくくすることもできてしまうというところに未だに怖さを感じます。ただ、そうならないためにどうしたらいいか、よりよい聞こえはどうしたら提供できるか、機器の限界からさらにこの人がコミュニケーションをよりとりやすくするためにどうしたらいいか、試行錯誤と勉強の日々ですがとてもやりがいを感じています。
 大学の同期たちからは嫌煙されていた分野ではありましたが、楽しく働くことができているので自分にとっては向いている分野だったのではないかと感じています。

 さて、前回の方から「言語聴覚士をやっていて大変だったけど、嬉しかったエピソード」とのテーマをいただきました。
 この分野で働いていて嬉しいな、やりがいを感じるなと思うのは、患者さんやご家族さんの様々なライフステージにおける問題を一緒に考え、一緒に乗り越えていけることかなと思います。

 難聴が完治することは基本的にはないため、初診時から受診間隔は広がっていくものの通院が終了することはありません。生後間もない時期から関わっている子が小学校に入学したり、反抗期真っ盛りだった子が中学生や高校生になって急に敬語で話しかけてくるようになったり・・・。子どもの成長はもちろんですが、変化を感じる度にそれまでのご家族さんの苦労や努力も報われたなと思い嬉しく思います。

「赤ちゃんが生まれて幸せいっぱいの時に難聴であると診断を受けて絶望を感じた」と話していたお母さんが、「病院へきて話を聞いてもらえて、こんな風に何度も声をかけてもらえて気持ちが楽になったんだ」とか、「こんなことで悩んでいたんだけど、1人で悩んでいるよりは病院に来て相談をするほうがいいと思って受診の日を待ってました」と言ってもらえると、支えになれていたのだなと自分自身の励みにもなりました。

 その子その子の成長があって、選ぶ進路があって、やり直せないから親御さんの苦悩もたくさんあるし、本人が成長してきて、親には内緒にしておきたい悩みが出てきたり、学校でちょっとしたトラブルがあったり・・・と来院される毎にこちらが想定していなかったような相談事もたくさん出てきます。そんな時に、私が身につけた知識や集めた情報で少しでも背を押してあげたり、解決策を提案したりすることができたらいいなと思います。
 お会いする頻度が少なくなっても、何かあったら報告をしたいなと思ってもらえるようなSTでいられるよう、これからも精進していきたいと思います。

滋賀県立総合病院
M・H